Google Analyticsでリファラー内の参照元「search.yahoo.co.jp」を自然検索のチャネルとして集計するセグメントを作る

今回は,Google Analyticsのセグメント機能の紹介です.実際のデータをつかって,新しいセグメントを作るときどのように条件を与えるかを紹介します.セグメント機能の基本的なことなどは,例えば「スマホでサイトの使い方はどう変わる? 「セグメント」機能でスマホとPCの訪問を比較する[第30回]」などを参照してください.

<この記事は「デジマのあれこれ」にて2017年6月頃公開された記事を一部改良して移植したものです>

1.はじめに

ご存じの方もいると思いますが2015年夏にYahoo!が検索をSSL化すると宣言しました(昨年すでにYahoo!の検索も完全にSSL化が完了しました)が,その影響で一時期Yahoo!の自然検索流入の一部がGoogle Analyticsではデフォルトチャネルグループ「Referral」にて計測されてしまうという現象が起きました.具体的には参照元が「search.yahoo.co.jp」という流入は,じつはデフォルトチャネルグループ「Organic Search」(メディアが「organic」)であるのべきなのに,チャネル「Referral」に分類されている(メディアが「referral」になっている)と現象です.ただし,すでにこの問題は解決しています(2015年9月頃にGoogleが対応して,参照元が「search.yahoo.co.jp」も「Organic Search」として計測されるようになりました.詳しくは「Googleアナリティクス側でSSL化されたYahoo!検索からの流入もorganic扱いするように仕様変更が完了」などを参照してください(注:リンク先の記事が消えました)).

そこで今回は,デフォルトチャネルグループ「Referral」に分類されてしまった参照元が「search.yahoo.co.jp」を,自然検索のチャネルとして集計するセグメントの条件の設定方法を紹介したいと思います.もちろん,その逆として「Referral」内にある「search.yahoo.co.jp」を除外して集計するリファラーのセグメントの設定も紹介します.これらセグメントを使うことで,全期間で参照元が「search.yahoo.co.jp」を常に自然検索として計測出来ます.もちろんセグメント自体の条件の与え方は他でも応用がききますから,違う条件でセグメントを作る場合の参考になると思います.

2.参照元が「search.yahoo.co.jp」となっているセッション

まず,図1は2015年9月のデフォルトチャネルグループ「Referral」のレポートです(「集客 > すべてのトラフィック > チャネル」でのデフォルトチャネルグループ「Referral」のレポートです).その中に,参照元が「search.yahoo.co.jp」となっているセッションが存在するのが確認出来ます.

図1.2015年9月のデフォルトチャネルグループ「Referral」のレポート

図1のレポートにてアドバンスフィルタで“参照元に「search.yahoo」を含むで一致”をかけると図2のように,該当するものとして合計4つのセッションが存在しているとわかります.つまり,図1においてチャネル「Referral」のセッションが30だったので,その中の4つのセッションが参照元「search.yahoo.co.jp」(を含む流入)に該当しています.これをリファラーのチャネルから除外し,自然検索のチャネルでとして集計できるセグメントをつくります.

図2.チャネル「Referral」内で参照元「search.yahoo.co.jp」に該当する4つのセッション

デフォルトのレポートではちょっと内容が把握しにくいので,ここでGoogle Analyticsのカスタムレポート機能を利用したいと思います.月単位で各指標を集計してくれるレポートとして図3のような,カスタムレポート“月別用(9指標)”を作成します.このカスタムレポートは,

月別用(9指標)

https://analytics.google.com/analytics/web/template?uid=Cqud0nEuSX25Wugtt7RnfQ

から取り込めます.Google Analyticsにログインしている状態のブラウザにのアドレスバーに,上記のアドレスをコピーして貼り付けます.すると図4のような画面になるので,取り込みたいビューを選択して「作成」ボタンを押して進めてください.

図3.カスタムレポート“月別用(9指標)”の設定

図4.カスタムレポート“月別用(9指標)”の取り込み

3.参照元が「search.yahoo.co.jp」の流入を取り除くセグメント

ではさっそく,デフォルトチャネルグループ「Referral」から参照元が「search.yahoo.co.jp」の流入を取り除くセグメントを紹介します.図4がそのセグメント“チャネル「リファラー(search.yahoo除外)」”の設定です.つまり,まず1つめのフィルタでデフォルトチャネルグループにてReferralと完全一致するセッションを含め,次のフィルタでデフォルトチャネルグループにてReferralと完全一致するセッションとし“AND”でつなげて参照元がsearch.yahoo.co.jpを含むようなセッションを除外するとします.なお1つめとフィルタと2つめのフィルタは“AND”で繋がっています(つまり条件Aのフィルタと条件Bのフィルタがある場合,条件Aを満たしかつ条件をBを満たす場合が集計されます.条件の順番も意味を持つので注意してください).このセグメントも

チャネル「リファラー(search.yahoo除外)」

https://analytics.google.com/analytics/web/template?uid=p2sR-FugTNGqLKA-RgQ29A

で取り込めます.

図5.セグメント“チャネル「リファラー(search.yahoo除外)」”の設定

次に,デフォルトチャネルグループ「Referral」内にある参照元が「search.yahoo.co.jp」の流入を自然検索として集計するセグメント“チャネル「自然検索(リファラー・search.yahoo含む)」”は,図6のような設定となります.このセグメントも

チャネル「自然検索(リファラー・search.yahoo含む)」

https://analytics.google.com/analytics/web/template?uid=a3tB5F0tRDK1F3zJwgXnyQ

から取り込めます.

図6.セグメント“チャネル「自然検索(リファラー・search.yahoo含む)」”の設定

セグメント“チャネル「リファラー(search.yahoo除外)」”と“チャネル「自然検索(リファラー・search.yahoo含む)」”とカスタムレポート“月別用(9指標)”を使って早速集計してみたいのですが,その前にデフォルトのセグメント“参照トラフィック”に関する注意を説明しておきます.セグメント“参照トラフィック”は条件としてメディアが「referral」に完全一致するセッションを集計するセグメントです(図7参照).今回はチャネルグループで分類するので,条件としてデフォルトチャネルグループがReferralと完全一致するセッションを集計するセグメント“デフォルトチャネルG「Referral」”を作成します(図8参照).ついでに,条件としてデフォルトチャネルグループがSocialと完全一致するセッションを集計するセグメント“デフォルトチャネルG「Social」”も作成します(図9参照).

図7.デフォルトのセグメント“参照トラフィック”.このセグメントのコピーを作成で中身が確認出来る

図8.セグメント“デフォルトチャネルG「Referral」”の設定

図9.“デフォルトチャネルG「Social」”の設定

デフォルトチャネルGReferral

https://analytics.google.com/analytics/web/template?uid=QyYM_L68QJSLGgLomT_vUQ

デフォルトチャネルGSocial

https://analytics.google.com/analytics/web/template?uid=jybxdZVASPiblC8jCChUBg

カスタムレポート“月別用(9指標)”とセグメント“参照トラフィック”と“デフォルトチャネルG「Referral」”と“デフォルトチャネルG「Social」”を使って,2015年9月を集計した結果が図10です.セグメント“参照トラフィック”のセッションは,図10に示すようにセグメント“デフォルトチャネルG「Referral」”と“デフォルトチャネルG「Social」”のセッションの合計と等しくなります.図1の「集客 > すべてのトラフィック > チャネル」でのデフォルトチャネルグループ「Referral」のレポートのセッションと等しくするには,セグメント“デフォルトチャネルG「Referral」”を使うことになります.したがって,セグメント“チャネル「リファラー(search.yahoo除外)」”の比較対象としては,セグメント“デフォルトチャネルG「Referral」”を使います.

図10.セグメント“参照トラフィック”とセグメント“デフォルトチャネルG「Referral」”と“デフォルトチャネルG「Social」”のセッション

デフォルトのセグメント“自然検索トラフィック”とデフォルトチャネルグループOrganic Searchとでは上記のようなことはないと思いますが,それぞれセグメントを作って一応確認しておきます.図11がセグメント“自然検索トラフィック”,図12がセグメント“デフォルトチャネルG「Organic Search」”の設定となっています.図13に示すように差はありませんでした.

図11.セグメント“自然検索トラフィック”の設定

図12.セグメント“デフォルトチャネルG「Organic Search」”の設定

デフォルトチャネルGOrganic Search

https://analytics.google.com/analytics/web/template?uid=hshWedtBT–yTIm3-BEK5w

図13.セグメント“自然検索トラフィック”と “デフォルトチャネルG「Organic Search」”のセッション

4.作ったセグメントでデータを見てみる

それでは,カスタムレポート“月別用(9指標)”とセグメント“デフォルトチャネルG「Referral」”と“チャネル「リファラー(search.yahoo除外)」”と“デフォルトチャネルG「Organic Search」”と“チャネル「自然検索(リファラー・search.yahoo含む)」”をつかって,2015年9月を集計してみましょう.結果は図14のようになりました.

図14.2015年9月の集計

図14を見ると,セグメント“デフォルトチャネルG「Referral」”のセッションが「30」に対して,セグメント“チャネル「リファラー(search.yahoo除外)」”のセッションは「26」と4つ減っているのが確認出来ます.この減った分の4が,図2に示したチャネル「Referral」内で「search.yahoo.co.jp」に該当する4つのセッションに該当します.そしてこの4つ分のセッションが,セグメント“チャネル「自然検索(リファラー・search.yahoo含む)」”にて集計されています.したがって,“チャネル「自然検索(リファラー・search.yahoo含む)」”のセッションは「1321」となり,セグメント“デフォルトチャネルG「Organic Search」”のセッション「1317」より4つ分大きい数値となっています.

以上のような方法でアドバンスセグメント機能を使うことで,いろいろな条件のセグメントを使って集計ができます.